Kesennuma

親と子の思い出をつくる<ニューボーンフォト>

11月は「秋のこどもまんなか月間」です。社会全体で子どもや子育てにやさしく支える社会づくりのためにと制定されました。

三児の母として、子どもたちに翻弄されながらも日々成長を感じるという育美さん。

できるだけ可愛い我が子を写真に残しておきたい!と思っていても、特に出産後の新生児期は幼児の世話に没入し、なかなか写真って少ないものです。

そこで、産後1ヶ月程度の新生児を撮影する<ニューボーンフォト>を手掛けるフォトグラファーの大山美佳さん(実は育美さんの実妹)に、産後の母子ケアやニューボーンフォトへの思い、子どもを撮影する際のポイントを聞きました。

 

 

■産後ケアを写真で実現

美佳さんは現在三児のお母さん。以前は保健師として、新生児訪問をしていました。

「産後のお母さんたちは、出産後の疲労や寝不足、慣れない育児環境、孤独感で社会から隔離されたような感覚になると言います。一方でSNSなどを開けば、キラキラしているママさん達が目について気分が落ち込んだり、意味もないのに涙が出てきたり、自分が自分じゃないような感じで辛くなったり……。妊娠・出産・育児を経験し美佳さん自身も「子どもの将来に結びつき、人の土台を作るので責任も重大。私自身も出産育児を経験する中で、よりリアルに感じました」

 

ニューボーンフォトのワンシーンで撮影する家族写真は、おそらくお子さんとの初めての家族写真。産後の自分を写して欲しくない方もおられますが、必ずいい思い出になるはず。ぜひ、残すことをオススメします。

 

出産育児、夫の転勤等で保健師を退き、新生児に関わる仕事を悶々と考える日々。実家が写真スタジオで身近な写真を通じて何かできないかと思っている時期にニューボーンフォトを知ることに……。

「でも、ニューボーンフォトって私も最初は結構疑いの目だったんです。私は保健師として新生児に携わる仕事をしていて自信もあったので、『これちゃんと赤ちゃんのことわかって撮ってんの?』って。その後、男性のニューボーンフォトグラファーのお話を聞く機会があり、保健師の授業を受けてるのかって思うぐらい、産後のお母さんのことや赤ちゃんのこと、メンタルケアにすごく力を入れていて、こういう人に撮ってもらえたら安心だなと思いました。私がやりたかったことに本当に近いって!」

 

■新生児訪問の延長線

ニューボーンフォトはフォトグラファーの撮影技術はもちろん、何よりも新生児への安全を配慮した知識と意識、ご家族の方々、特にママの産後ケアの要素も不可欠です。

「私にとってニューボーンフォトは、保健師時代に経験した新生児訪問の延長線上。新生児訪問での経験を活かし、私も自分の経験談をお話ししながら撮影するので、同じ子育てに悩んだ時期を共感でき、今は辛くても、楽しい未来があるとお伝えています」

 

ニューボーンフォト界では、空前の生花ブーム。季節のお花を使うのがおすすめです。お花を使うと一気に華やかになりますね。また、家族の手と一緒に撮影するのも人気のポーズ。いつでも新生児期の大きさを思い出すことができます。等身大プリントで残すことも出来ます。

 

「撮影時はママが一番くつろげる状態で写真を撮り、ママのお話を傾聴し共感することで、不安を和らげるだけでなく、産後のママの気持ちをリフレッシュしていただけるよう気をつけています。撮影中は自然と息を吐くように『可愛い』を連呼しているので、改めて我が子を可愛いって再確認することもあるようですね。撮影の時間が、我が子との楽しい思い出の時間になればと思っています。ニューボーンフォトの撮影も一期一会。撮影だけでなく、その後もご連絡いただくこともあるので、私も励みになっています」

 

■母親目線で新生児を撮影

ところで新生児を撮影する中で、パパママにも実践可能な撮影術をぜひ教えてください。

「赤ちゃんのお顔を可愛く撮るポイントは、顔の下から見上げるように撮らないことと、できるだけお子さんと目線を合わせて撮ることです。お子さんと同じ目線で撮影することによりお顔が可愛く写ることもそうですが、目線を合わせることでお子さんと過ごした日々をよりリアルに思い出せると思います」

 

頬杖ポーズは手を離さず撮影し、後から手を消す合成で仕上げます。とても安定したポーズですが、赤ちゃんの安全を最優先に考えて撮影をしています。

 

また、日本の子どもは、アメリカや中国に比べて自己評価が低いといわれています。幼少期の環境や周囲の評価が、自分自身を肯定的に捉え、自分自身の存在価値を認められる<自己肯定感>の形成に大きな影響を及ぼすと言います。スマホで写真に残す機会は増えたけど、パパママの楽しみではなく、子どもたちにも目に届くプリントで残すことも、その効果がありそう。

 

「昨今、『褒め写』という言葉がよく使われますが、写真は自己肯定感を上げてくれる効果があるそうです。例えば、本人の記憶のない時期にニューボーンフォトを撮影し、それをお家に飾ったり、たまに絵本のようにアルバムを開いて語りかけてあげたりすると、それを見たお子さんは『こんな風に可愛がられてきたんだ!』と感じ、自分の自信に繋がるそうです。

私が実際に日々育児をしていくなかで、自己肯定感を育むことは、育児において大きな課題であると感じています。写真がその一助になれば……、そんな想いで、データで残すだけではなく、お客さんのニーズに合った商品もたくさんご用意しています!」

 

いつも繰り返される少子化のニュース。厚生労働省が発表した「合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)で、宮城県は過去最低の1.07で都道府県別で全国ワースト3位と5年続けて過去最低を更新しています。

 

日々成長する我が子の世話に明け暮れる中、部屋に飾られた新生時期のニューボーンフォトを見てまた「第二子第三子を抱いてみたい」と改めて思う方もいるようです。

美佳さんは「ニューボーンフォトを通じて、少しでも少子化の一助になれば」と、今日もファインダー越しに可愛い新生児に癒されています。

 

構成・文/藤川典良

 

 


■NEWS

2024年11月21日(木) 大山美佳さん テレビ出演‼︎

フォトグラファー・大山美佳さん、ミヤギテレビ 『OH!バンデス』 <バンデス記者>のコーナーに出演!!!! 

放送時間:16時台予定)。お楽しみに!

ミヤギテレビ視聴可能な方は是非ご覧ください!

 

 

番組内容・放送時間は、ニュース等の都合により変更になる場合があります。


 

大山美佳 profile

1989年宮城県気仙沼市出身。フォトグラファー。看護師・保健師を経て、フォトグラファーに。

宮城県石巻を拠点に宮城、山形、岩手を中心に活動中。24年、ニューボーンフォトを専門に手掛ける「Mikazuki」を立ち上げる。日本ニューボーンフォトセーフティー協会認定。3児の育児、真っ只中。

お問い合わせ:https://www.instagram.com/mikazuki_newborn/